『憲法九条の「損」と「得」』(扶桑社)太田光、中沢新一2020年1月25日
【内容紹介】
議論がほとんどないまま、安倍首相は2021年9月までに、憲法改正・国民投票をしようとしている。しかし、国民投票という民主主義の道具の危険性は、3年半に及ぶイギリスのEU離脱の大混乱を見れば明らかだ。気がつけば国民投票が行われる日程が決められ、九条を残すか? 変えるか?という大問題をいきなり私たちに突きつけられることになる。決まってしまえば、二度と変えられない!
日本人にとって、もっともふさわしい憲法とは何か? 憲法改正が現実的に私たちに問われようとしている今こそ、改めてみんなで考えたい。太田光氏・中沢新一氏が右でも左でもなく、日本の伝統の「どまんなか」に立って、日本国憲法の本質を炙り出していく!
【タイトル】憲法九条の「損」と「得」
【著者】太田光、中沢新一
【定価】1,500円+税
【判型】四六判
【発売日】2020年1月25日
扶桑社HP
■目次
第1章 憲法は、時代に応じて変えていくべきもの
・ブレグジットの教訓
・混乱しているイギリスは正しい
・世界は「人類史的再編」の時代に差し掛かっている…etc.
第2章 憲法九条と共鳴する日本の「伝統」
・「原発=悪」と「戦前=悪」の共通点
・戦前と戦後をつなぐ揺るぎないもの・「伝統」
・言葉に引っ張られると大事なものを取りこぼす…etc.
第3章 日本人の心性と響き合う、天皇の制度
・「白黒つけない」という国民性
・日本的システムが改悪された明治時代
・日本の根本構造を理解しなければ、庶民の支持は得られない…etc.
第4章 「中空構造」の日本と、憲法のあるべき姿
・今、世界の「日本化」が起ころうとしている
・「中空構造」の日本は戦争に弱い
・「未来」の憲法は「過去」につながるものでなければならない…etc.
■「対談のまえに」抜粋 中沢新一
太田さんと僕は、
右でも左でもなく「どまんなか」に立って日本国憲法の本質を考えた
国民投票という民主主義の道具の危険性を、ぼくたちはイギリスの「ブレグジット(イギリスのEU離脱)」をめぐる国民投票で、まざまざと見届けてしまった。イギリス人はまがりなりにもそのことについて議論をした。それでもこのざまである。ところが日本ではたいした議論も盛り上がっていない状態で、国民投票が具体的政治日程に組み込まれようとしている<中略>太田さんもぼくも、右でもなければ左でもない。なるべく偏りを廃したまんなかに立ってものごとを考えたいと考えている。それに改憲そのものがよくないとも思っていない。しかしそれをする前には徹底した議論が必要だと思っている。ぼくたちは日本の伝統の「どまんなか」に立って、日本国の本質を考えようとしたのである。
■プロフィール
太田光(おおた・ひかり)
1965(昭和40)年埼玉県生まれ。日大芸術学部中退後、同級生だった田中裕二と1988年に爆笑問題結成。著書に『爆笑問題 太田光自伝』『憲法9条を世界遺産に』『パラレルな世紀への跳躍』『向田邦子の陽射し』などがある。2010(平成22)年、初の小説『マボロシの鳥』を刊行。爆笑問題としての著書に『爆笑問題の日本原論』『爆笑問題の日本史原論』シリーズ、『爆笑問題集』などがある。TVレギュラーは『お願いランキング』(テレビ朝日)、『爆報!THEフライデー』(TBS)、『サンデー・ジャポン』(TBS)、『爆問学園!! 住んでみた』(テレビ朝日)、『探検バクモン』(NHK総合)、『違和感』(扶桑社)など。
中沢新一(なかざわ・しんいち)
1950年、山梨県生まれ。思想家・人類学者。現在、明治大学野生の科学研究所所長。東京大学大学院人文科学研究科博士過程満期退学。チベットで仏教を学び、帰国後、人類の思考全域を視野にいれた研究分野(精神の考古学)を構想・開拓する。著書に『チベットのモーツァルト』『森のバロック』『アースダイバー』『カイエ・ソバージュ』シリーズ、『熊楠の星の時間』ほか多数。近著に『レンマ学』がある