2017年12月12日

『粘菌 知性のはじまりとそのサイエンス』推薦文

『粘菌 知性のはじまりとそのサイエンス ー特徴から研究の歴史、動画撮影法、アート、人工知能への応用まで』
推薦文
2017年12月7日発売

帯に推薦コメントを寄稿しました。
講談社『群像』2018年2月号(2018年1月7日発売)より掲載される中沢の新連載「レンマ学」第一回の参考文献としても本書を挙げております。



内容紹介:
「森のなかの美しい宝石のような生物である粘菌には、宇宙の大不思議が宿っている。
その粘菌が、いまや21世紀の知的探求の最前線に立とうとしている。
かつて我が南方熊楠は、粘菌のなかに生命現象の原基を見出そうとしたが、
現代の生物学は、さらに粘菌のなかに知性活動の原基を見出そうとしている。
この本は胸躍る粘菌研究の最前線から届けられた、こよなくチャーミングな報告書である。」

中沢新一 氏 推薦!!

脳や神経をもたない単細胞生物でありながら、外的刺激に対して複雑な行動様式を示す粘菌(変形菌)。
その特異なふるまいは、コンピューターサイエンスや人工知能研究の黎明期から科学者たちを悩ませてきた
「単一始点最短経路問題」に最適な解を与えうる能力をもつことで注目を集めた。

この驚くべき生物が、どのようにして無数の色や形へと変身をとげるのか、
その体内でどのような化学反応がおき、多様な行動・判断を生み出しているのか、
その情報処理システムには、まだ多くの謎が残されている。

本書は、サイエンスドキュメンタリーフィルム『The Creeping Garden』の製作を通して、
2人の英国人がどのように研究を深めていったかを描き出す。
その過程で粘菌研究の歴史や、現在第一線で活躍する科学者たちの研究をふまえ、
粘菌を応用したコンピューターや人工知能、ウェアラブルデバイスなどの取り組みについても紹介。

巻末には、粘菌を活用した研究で2度のイグ・ノーベル賞を受賞した中垣俊之博士と、
現在日本の変形菌研究をリードする川上新一博士による対談も収録。


目次:
はじめに ――ようこそ粘菌の世界へ
1 粘菌の真の正体を明らかにするために
2 共同監督ティムとの出会い
3 粘菌との出会い
4 宇宙人の侵攻
5 粘菌を探し求めて
6 粘菌研究の歴史
7 粘菌のライフサイクル
8 粘菌の生育
9 粘菌の撮影法を考える
10 粘菌と日本のつながり
11 粘菌と知性
12 アートとサイエンス
13 粘菌とコンピュータ
14 知性とロボット
15 粘菌に記憶能力はあるか
16 粘菌の音楽
おわりに

映画『The Creeping Garden』制作秘話
中垣俊之×川上新一 対談 粘菌研究の未来
参考文献
索引